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省エネ住宅の落とし穴
高気密高断熱の時代は終わったのか?

1970年代に起こったオイルショックを機に北海道を中 心に高気密・高断熱住宅の研究がはじまり、20年ほど 後追いする形で東京近郊の温暖地にもハウスメーカー を中心に高断熱商品が販売されるようになりました。 一時は「外張り断熱」という言葉が盛んにコマーシャ ルで流れていたのを覚えている方も多いかもしれませ ん。

しかし、最近はとんと高断熱という言葉は聞かれなく なり、住宅はもう高気密・高断熱から次の時代に入っ たのか、と言えば、決してそうではありません。

高気密・高断熱住宅は確かに普及したのですが、その普及率は決して高くはないし、高気密・高断熱技術 が工務店レベルまできちんと普及したのか、と言えば、決してそうではないのです。相変わらず、不確か な知識や不慣れな技術で、反って危険な住宅を造ってしまっているケースも稀ではありません。 

充填断熱(内断熱)は気密が命

充填断熱は柱や梁の間に繊維系の断熱材を挿入する基本的な断熱方法ですが、高断熱にすると壁の中に結 露が起こる、いわゆる内部結露の危険性が高まるので、内部で発生した水蒸気を壁を通して外に逃がさな いために気密シート(防湿シートとも言います。)を施行する必要があります。水蒸気はどんな小さな穴 からでも抜けてゆくので、この気密シートの正しい施行がこの工法の鍵となるのです。

しかし、現実にはこの正しい施工方法を身につけている大工さんはほとんどいなく、例えば、次世代省エ ネ基準の家を建てても、フラット35の検査では構造的なチェックをするだけで、正しい断熱施工がなされ ているかをチェックすることがないので、明らかに不良な施工であったもそのまま合格してしまう、とい うのが実状なのです。 

外張り断熱(外断熱)は
性能低下の問題が隠されている

外張り断熱は軸組(柱・梁)の外側に発砲プラスチック系の断熱材を貼付けてゆく工法で、構造用合板な どで外周を固めてしまえば、それだけで必要な気密性能が取れてしまうので、充填断熱の様な難しい気密 シート張りの必要がなく、内部結露に対しては安全性の高い工法と言えます。

しかし、発泡プラスチック系断熱材は繊維系の断熱材に比べて値段が高いこと、さらに、フェノールフォ ーム以外の断熱材は、気泡中の断熱効果ガスが抜けて空気と入れ替わることでその断熱性能が落ちてしま うものが多く、ある実験では5年で20%もの性能低下が確認されています。

そこで、発泡プラスチック系断熱材メーカーの中には、「経時劣化を考慮して断熱材の厚みを決めてくだ さい」などと注意書きをしているサイトもあります。しかし、通常、外壁には50mm厚の断熱材を外張りする時 に外壁材を支えるための専用の長い釘があるのですが、経時劣化を考慮して50mmを超える厚さの断熱材 を使用すると、今度は外壁を支えるのが困難になってしまうのです。

ですから、外張りを考える時には、フェノールフォームなどの経時劣化の少ない断熱材を選ぶようにする 必要があります。 

今まで以上に断熱を理解している設計者が求められている

改正省エネ基準では、これまで高気密・高断熱と呼ば れた次世代省エネ基準を超える断熱性能を求められることになる訳ですが、図面に描かれた仕様が法的に必要とされる数値を満たしていたとしても、施工の段階 でその不良が見過ごされてしまえば、それは絵に描いた餅の様なもので、内部結露で木材が腐食し、構造的な強度をも損なってしまう、そんな不良住宅が今後、どんどん増えて来てしまう懸念があります。

従って、今まで以上に設計者は断熱についての正しい 知識が必要であり、施主はそうした設計者を見極めなければなりません。断熱設計は勿論、現場で不良箇所 が決して起きない様に目配りができる設計者を選ばなければならないのです。問題が露見するのは決まって 瑕疵保証期間を過ぎてからなのですから。