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賢い省エネ住宅のポイント
​どこまで断熱性能を上げればいいのか?

次世代省エネ基準では旧VI地域(現6地域)において必要 とされるQ値(熱損失係数)の値は、2.7wでした(Q値が 小さいほど断熱性能が高い)。しかし、省エネ性能を上 げる為にはもう少しQ値を下げなければなりません。 具体的には外皮と窓などの開口部の断熱を強化するこ とですが、どこまで性能を上げるかという問題は、イニシャルコストとランニングコストのバランスの問題 ですから、その両方を見ながらコストが一番抑えられ る数値を探る必要があります。 

窓の断熱性とコストバランス

断熱サッシはどんなに性能の良いものであっても、断熱された外壁からみるとその断熱性能は1/5~1/8程度しかありません。従って、外皮の断熱性能を上げるには開口部の強化が必要となります。しかし、下の 表をご覧ください。躯体の断熱はその性能と費用は比例的に上昇しますが、開口部については、Q値が 1.88から1.28の辺りで急激にコストアップし、躯体の断熱の費用を超えてしまいます。即ち、これからの省エネ住宅は、こうしたコストバランスをきちんと計画することが求められているのです。 

遮熱Low-Eと断熱Low-Eの使い分け 

断熱サッシには様々な種類があり、ペアガラスが入っているからといって何でもよい訳ではありません。 ペアガラスの中空層が6mmの安価なものもありますが、中空層は12mmのものとし、複層ガラスでも今は Low-Eガラスという断熱効果の高いガラスが一般的に使用される様になって来ました。

このLow-Eガラスには、「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」があり、遮熱タイプは夏の日射を遮り冷房負荷 を大幅に低減する効果があり、断熱タイプは室内の熱を逃さず暖房負荷を軽減する効果があります。

 

 

従って、東京近郊の温暖地においては、南側の窓に遮熱タイプ、北側の窓に断熱タイプという様に使い分 けるのが良さそうですが、ここで問題なのは、南側の窓に遮熱タイプを使うと、折角の冬の日差しを遮 る、ということになってしまうことです。

ですから、理想的には、「庇+断熱タイプ」という組み合わせで、夏の日差しは庇などの建築的な造作で パッシブに遮り、冬の日差しは断熱タイプのLow-Eガラスを用いて太陽エネルギーを取り入れながら、熱 を逃がさない様にするのが最も暖房効率が良いという結果になります。高断熱化を進める中で、夏場の日 射遮蔽については伝統的な手法を忘れてはいけません。 

Q値は​1.9を目指す!

下の表は木造住宅のQ値の変化に伴うイニシャルコストとエネルギーコスト(ランニングコスト)の相関関 係を示したものです。Q値が4(高機密・高断熱住宅以前の住宅)の時には断熱性能が低いためにエネルギー コストがかかり、極めて不経済な住宅であることが分かります。Q値2.7は旧IV地域(東京などの温暖地)に おける次世代省エネ基準の数値ですが、これまで高機密・高断熱住宅と呼ばれてきた断熱性能の高い家で もエネルギーコストは意外とかかっているとこが分かります。イニシャルとランニングを合わせてトータ ルに最も経済的なのが、Q値1.9(UA値換算0.57)の時で、先の開口部コストを見ても、この数値が目標となる数値と言える でしょう。 

住宅の消費エネルギーの認識と実態

下に示した左の円グラフは、東京を中心に旧IV地域で、一般家庭においてどの用途が一番エネルギー消費 量が大きいと思うか、という問いに対する回答で、右のグラフは実際の消費量の割合を示したものです。

これを見て分かるように、一般の方々の認識では暖冷房が最もエネルギー消費が大きいと思われているの ですが、実際には、照明や家電などの動力が最も大きく、認識と実態には大きなズレがあることが分かり ます。

暖冷房は実際には全体の1/4程度で、意外と使っていると感じている冷房は、暖房に比べて遥かに消費量 は少ないのです。 過去30年間で消費電力量が増えているのは照明・家電関係で、省エネ住宅をトータルに考えるとき、断熱 を強化する以上に照明・家電・給湯などによる省エネが重要であることが分かります。 

省エネ機器導入のポイント

給湯器

熱源は電気よりもガスの方がエネルギーコストは安く、ガスでも「エコジョーズ」にすれば、さらにお得です(イニシャルは+10万円)。ただし、電気であってもヒートポンプによるいわゆる「エコキュート」を導入すれば、消費熱量は電気温水器の1/3になるので、ガスよりも割安になります。(イニシャルは+15万円) 

水栓

給水と給湯を必要とする箇所(例えば、キッチン、浴室、洗面所など)に 使用する水栓は単水栓ではなく、混合水栓とし、シャワー水栓は手元 で止水ができる、いわゆるワンタッチ止水ボタン付きのものを採用する、というこまめな機器選定を心掛けることでも省エネ効果を高める ことができます。 

照明器具

これまでの白熱電球に比べてLED電球の消費電力はおよそ1/5になりま すから、これからの照明計画は勿論、LED照明を基本とし、白熱灯な どの使用はできるだけ控えるべきです。