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これからの住宅はどうなる?

日本の省エネ基準は決して高い断熱基準ではなかった!

高断熱住宅の研究は1970年代に起こったオイルショックを機に始まり、1979年にはエネルギーの無駄使 いを減らして石油の依存度を下げるために、はじめて「省エネ基準」が施行されました。その後、1992 年の改正で「新省エネ基準」、さらに1999年には「次世代省エネ基準」が施行され、日本の住宅の断熱 化はこの20年間で順次強化されてきました。「高気密・高断熱住宅」と一般的に呼ばれる住宅は、この 「次世代省エネ基準」の性能を持つ住宅のことですが、実は欧米先進国の基準と比べてみるとこれは決して高い断熱基準ではありませんでした。 

省エネ住宅の現状は?

住宅メーカー各社もこぞって高気密・高断熱商品を開発し、特に首都圏においては「外張り断熱」の流行 もあり、今では住宅の高断熱化・省エネ化が相当促進されたのではないか、と思われている方も多いかも 知れません。しかし、実際には新築住宅で次世代省エネ基準の性能を満たす住宅は全体としてやっと半分 程度に過ぎず、首都圏においては特にその普及率は低く抑えられているというのが現状です。 

どうして省エネ住宅が普及してこなかったのか? 

その理由としては、特に温暖地においては、「高気密」から連想される「魔法瓶の様な息苦しい家」とい ったイメージであったり、バブル崩壊後の長い経済低迷期において、基本的には「いくら寒くても死ぬ程 ではないから、家に余計なお金をかけたくない」という経済的な理由がありますが、普及が進まない一番 大きな理由は、そうした省エネ基準は基本的に選択的基準であるに過ぎなかったからなのです。家を新築 する時にどうしても守らなければならない基準でない以上、コストアップになっても暖かい家が欲しいと 思う建主でもなければ、そうした基準は意味をなさない訳です。そこで2013年、次世代省エネ基準から 13年ぶりに省エネ基準が改正されました。 

どうして今、省エネ基準を改正するの ? 

省エネ基準の改正は、2011年3月11日の起こった東日本大震災と大きく絡んでいます。この震災によって 起こった福島第一原発の事故によって、今後の原発政策の見直しを余儀なくされる中で、これまで化石燃 料への依存度を下げることを軸に地球温暖化対策を進めて来た政策も当然、その戦略の見直しを求められ ることになりました。原発が突然稼働しなくなった状況の中では、それをすぐに自然エネルギーに置き換 えることはできませんから、これまで使っていた石油・石炭を燃料とした火力発電所を復活させるしかあ りません。必然的にCO2の排出量は増加してしまいます。そこで、様々な分野において、更なる省エネ対 策が求められることになったのです。 

改正省エネ基準は何が違うのか? 

先に示した様に、まず、「次世代省エネ基準」の断熱性能は欧米各国の基準と比べると決して高い基準ではありませんから、さらなる断熱強化が求められます。しかし、断熱強化を進めると、日射遮蔽措置を怠れば、室内気候 はオーバーヒートしてしまいますし、CO2対策としては、建物内で発生するCO2を抑えない限り限度がありますから、室内で使用する電気、暖冷房、給湯といった機器の省エネ化(一次消費エネルギー消費量基準)も促進しなければなりません。

これまでの省エネ基準は、床・壁・天井・窓といった外皮に対する断熱化(外皮性能)のみの基準でしたが、改正省エネ基準は建物全体でエネルギー消費量を減らすことを目指したものなのです。 

改正省エネ基準を満たさなければ、家を建てられなくなる! 

改正省エネ基準の施行の前後には、2009年の長期優良住宅、2012年の低炭素建築物、2015年の住宅性能 表示基準といった様々な基準が施行され、それに対応しなければならない設計事務所にとっては、もうい い加減にしてくれ、と言いたくなる状況ですが、これらの基準における必要数値の算定方法については、 自ずと共通化が計られてゆく事になります。

さて、改正省エネ基準はすでに床面積300m²以上の建物を新築、増築、改築、修繕等を行なう場合に省エ ネルギー措置の所轄行政庁への届けが義務付けられるようになりましたが、2020年には新築住宅・建築 物の総てに改正省エネ基準適合が義務化されることになります。

即ち、これからの住宅は次世代省エネ基準を超えた高断熱・省エネ住宅でなければ建てる事ができなくな るのです

そして、さらに2030年までには新築住宅の平均でネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)の実現を目指すことになります。ゼロ・エネ住宅は、すでに住宅メーカーなどによって商品化され始めていますが、ちょ っと先の未来には、それが普通の住宅になるのです。